Tweed

来季の生地、ただいま生産中です。
ウールと言えば名古屋・岐阜。
という事で、昨日、まさにウールが織機に乗るので見学してきました。

最初に行ったのは「紡績」。原料のウールが糸になるメーカーさん。
ここはオール秘密なので写真ありません。

今回ツイード用にシェットランド50%、豪州ウール50%の糸を作ってもらいました。
このあたり、なんでわざわざシェットランド50なのか意味があるのですがまた次回。
現物見ながらでないと説明が難しいので。






で、糸が出来れば次は織る工程。織布です。
驚いたのが、タテ糸を織布工場で巻いている事。

通常、岡山・広島などはデニムが多かった関係もあり(デニムの場合先にタテ糸を織る直前の状態に巻いてから染めるため)大手の一気通関をしている工場以外、たいてい織布は織布は織布。タテ糸を織る直線の状態に巻く「整形」は「整形」と別の所でやっているケースが多いのです。

ところが、ウールの場合、先に糸を作り(染めもたいていが原料の状態)、チーズという状態(糸巻きの大きい状態)にして織布工場に投入。その場でタテ糸の整形も織布工場がやってしまうのです。





で、タテ糸は昨日より前に巻いてもらっていて、その巻かれた糸がいよいよ織機に乗って織布開始。
ゆっくり織られていくヘリンボンツイード。
織機自体は「革新織機」と呼ばれる、ヨコ糸が通る時にシャトルが要らない物。エアで糸が飛んでいきます。

革新織機=織るのが早くて、生地が平坦というイメージですが、ここの織機は逆。遅いです。一日1反ちょっとという遅さ。

この織布屋さんは今回頼んでいるような「紡毛(ぼうもう)」と呼ばれる糸の織り物が得意です。
スーツなんかのつるっとした生地の糸、あれが「梳毛(そもう)」

覚え方は「ぼわっとした生地の糸はぼうもう」「ソフィティスケイテッドされた生地の糸はそもう」

ツイードなんかは、紡毛が多いのです。古着でいえばウールリッチとか。そもそも、Woolich Woolen MillsのWoolen(ウーレン)が紡毛という意味。ちなみに「そもう」は「Woosted」です。


で、なんで織機が遅いかといえば、紡毛・ウーレンは短い繊維で作られている事が多く、糸自体、それほど強度がありません。イメージとしてはケバケバしたウールのイメージです。
なので、張力を強く、早く織ろうとするとどうしても糸が切れてしまったりするわけで今回お願いした紡毛が得意な織布屋さんの織機は遅いのです。

デニムの場合、シャトル織機(ミミのある生地ができます)で無いと駄目というケースがあるのですが、ツイードでミミを使わない場合は風合いが良ければミミの出来るションヘル織機でなければいけないと私は思いません。このあたり、Tシャツやスウェットの吊り編み機とシンカー編み機でも言える事なのですが。

いずれにせよ、出来上がった物で感じてもらうのが一番です。この生地を使ったまた新しいジャケット・ベストも来季は登場予定です。お楽しみに。