Dead Rabbit


前から行ってみたい、行ってみたいと思っていたDead Rabbit。念願かなって行ってきました。
ウォール街のはずれにある3階立てのバー。
そもそも、アメリカでバーと言えば「ウェイティングバー」。レストランにくっついているのが基本。
よく日本である「町場のバー」的な物は少なかっ「た」そうです。

それがこの数年、アメリカでは空前のハードリカーブーム。
そんな時にアメリカ人は日本を見て「なんで自分たちもすっかり忘れ去ったオーセンティックなバーが大量にあるんだ!&テクニックが超洗練されてる!!!」となり、日本的なバーに一部学びつつ、町場のバーが増えてきた・・・という流れです。

で、そんな流れの中でも、店構えのクラシック(ただ、あくまで作られたクラシック)No.1と勝手に思っていたのがこのDead Rabbitでした。



実は、昼間と夜、二回行ってしまいました。
真昼間から夜中まで、ぶっ通しで営業しています。昼間からお酒も飲めるし、コーヒーもフレンチプレスでそれなりに入れてくれます。
店内はご覧のとおり、「昔からやってお客がはってっちゃったんだよね~」風のディスプレイ。
ラルフローレン、RRLでこの手のやり方はメジャーになりましたが、バーの世界でやっても雰囲気が良い物です。
(新宿のルパランは方向性が違いますが、装飾という点ではこれ以上にゴージャスかも)





で、夜です。実は、夜に先に来て、翌日昼間もう一度行ったのですが・・・

通されたのは3階。めっちゃ混んでて、本当は入りたかったピアノ弾きのじいちゃんが居る2階には入れず。その後、帰り際に「二階ダメ?」と聞いたら「もうちょっと待てば入れるよ~」と言われたのですが「ピアノ聞きたかったから」と言うと「残念、じいちゃん帰ったからまた来週おいで!」。来週か~、果たして次の来週はいつでしょう?

で、肝心のお酒は・・・やっぱり、炭酸系は炭酸がゆる~い。
一緒に行ったルボナーの松本さんは元々ほぼ飲まない人。それでも、ジントニックは飲めるね~と喜んでいました。

オールドファッションは、やっぱりレモン・ライムは無し。
どうも、レモン・ライムを入れるのはレシピを守るきっちりとした日本人だけなのでしょうか?

渋谷~代官山


生地の展示会を見に出張。
久しぶりに、渋谷から代官山というか、恵比寿までというか、線路沿いの道を歩きました。
学生時代、代官山までの電車賃がもったいないので良く渋谷から歩いた道です。雪の中ここを歩いてB-15Cを買いに行ったり、あっついなかL-2Bを買いに行ったり。今30-40代の方なら、どこに何を買いに行ったかすぐわかるでしょう。

電車賃を削って3万、5万といったフライトジャケットを買っていたのだから我ながら根性があるというか、なんというか。

今回は恵比寿から戻る形だったので順序は前後しますが・・・




道の途中の和菓子屋さんと中華料理屋さんもそのまま。
この店も入れたのは何回あったかなぁ。とにかく、お金は服へ、服へ・・・なので、飲食店も「あったなぁ」とは覚えていても「良く入ったなぁ」とはならないのでした。



学生時代は「なんで明治通りのレッドウッドがここに???」と思いつつ、ハーゲンダッツのTシャツ買ったりしていたお店。ここも健在。
変わってるようで、そのままの店、古い町並みも残っている東京。久しぶりに歩いた道で昔を思い出しました。
次は目白から池袋の道かな・・・(金が無かったので歩いてばかりいたようです)

Making Pattern, Summer Flight



もう、来春夏の型紙をひいています。
古着のサマーフライト、着てみるといろいろ「ここがこうだったらな」という部分が出てきます。そのあたりを変更してこんな形にしてみようというスケッチ。

WORKERSの場合、自分で型紙をひいてしまうのでスケッチはあくまでスケッチ。細かい寸法は、型紙をひきながら考えていきます。


今日は、WORKERS自慢の前振り袖の作図を。
すべての元になるのは、身頃を元に描いた右側の袖。
シャツの袖と同じような物です。



そのシャツと同じような袖を展開したのが右側。
一口に「展開した」と言っていますが、クラシックなテーラードで良く使われる作図法で展開しています。
本来の、サマーフライトはこれとは全く別の袖型が使われています。
腕が上げやすいように脇の下にマチがついた独特な形状。

確かに「道具」としては手が上げやすい方が正解です。
が、この脇の下のマチが普通に街着として着るには気になる。うまくたたまれてくれないのです。
そこで、身頃はオリジナルの持つ雰囲気を残しながら、袖だけは全く新たに書き直しています。


そして、先ほどの展開したものを内袖・外袖にわけます。
これでおわり・・・とおもいきや




展開はあくまで垂直・水平を使って反転させています。
それを元に、切り替え線はカーブを描いているのでこれをくっつけると、袖山の線はいびつになってしまっています。

型紙をあたかも縫ったようにくっつけて・・・


線を引きなおします。今度は、うち袖の底にむかって少し線が乱れているので修正・修正・・・と繰り返し修正していきます。


これらの作業、もともとはハトロン紙という薄い紙とシャープペン、ルレットという紙に印を付ける道具や目打ちを使って行っていました。

私は最初手でひいて、途中からCAD(機械)に変わった派です。
その為、あくまで普通に手でやっていた作業をCADに置き換えただけ。
本当はCADにはもっと便利な機能もあるらしいのですが、あまりそういった物は使わず、基本的な機能で、手でひいていた時と同じやり方でやっています。

道具が変わっただけで、結局「縫える型紙」をひく技術には変わりはありません。ただ、自分が手を動かして覚えた事というのはそう簡単には消えません。いわゆる「体が覚えている」というやつです。

Thank you for your order,


9月納品予定製品、ご注文ありがとうございました。
ただ今、グレーディングの最終確認中で、明日にはすべて工場へ送り出します。

生地も部品もすべて手配済。工場投入したら、すぐにでも仕事に手をつけられるように気を付けています。

これ、自分が工場に勤めていた時代に実感したことです。
「いついつぐらいに生地投入しますね~、納期はいついつで」という連絡は良くあるのですが、さぁ生地が来ると・・・パターンが来ない!裁断が出来ない!とか、さぁ縫いだしてみると・・・「ネームがいつまでたっても来ない!」とか良くありました。

結局、何もかもそろって手を付けられるのは、納期直前なんてケースも。
工場は「いついつ仕事頼みます、このぐらいの量で」と言われれば当然スケジュールをおさえてくれます。そのタイミングで毎回、間違いなく仕事ができるなら良いですが、手を付けられないケースが続くと信用してもらえなくなります。

たとえば、そこから1週間遅れて手が付けられるとしても、その1週間、ぼ~っと待つわけにはいかないわけです。そうなれば、まだ先の納期だったとしても手を付けられるものを始めるわけです。

そうなると、たとえ投入は1週間の遅れでも、その前に入ってしまった仕事にけりがつかないと、後から投入された仕事には手がつけられません。そもそも、そこでスケジュールが狂うので、大幅に後回しになるケースもあります。

WORKERSはそういう、工場の気持ちというか、考え方がわかるので何もかも段取り良くやるように心がけています。(その分、在庫がろくに無いとか、融通が利かない部分は多々ありますが)


先日行った工場の社長さん、ちょうど私が行ったときは他のクライアントさんと話していました。私は待っていて、そのクライアントさんが帰り際に「仕事は段取りが8割だから、職出しの時はすぐにでも手を付けられるようにしてね!」と念押ししてました。やはり、どこも同じなんだなぁ・・・としみじみ感じました。

Non age



 先日行ったニューヨークでの一コマ。
ルボナーの松本さん、かなりヘビーなWORKERSユーザー。毎日私服なので、Cruiser Vestも本当に道具として着ています。

ポケットにはGRデジタル、フロントの三日月ポケットには万年筆を。
脇のポケットのマチが活躍しています。

WORKERSのモデルでいつも登場するS君が26歳。
松本さんが57?8?歳。
その差30歳ほどですが、どちらにも似あうし、どちらも着られる。

昔、リーバイスが「ジーンズはNon age, non sexである」といったコピーが良くありましたが、WORKERSの服も同じだなと感じます。

特別なデザインがあるわけでなし、サイズ感も中庸。
でも、着こんでふと気づくと良い風合いに成っていたり。
若い人が着れば少し、大人びて見えて。年配の人がカジュアルラインを着てもらえると少し若若しく。

型紙だ、縫製だ、生地だ、部品だ。製品を作っているとどうしても、そういう細かな部分に目が行きがちですが、洋服は最後は「着てもらって、どう感じてもらえて、どう他の人から見てもらえるか」が大事なのだと思います。

いつも、仕事場にこもっていると「本当にWORKERSってだれか着てくれているのか?どんな風に?」と感じる時もあるのですが、今回、本当に人の生活に役立っているのを見て少し安心しました。

クルーザーベストを作っていた工場は、もともとシャツを最初から作ってくれていたレディ二人の工場でした。さすがに年齢が年齢で、目がだんだん見えづらくなってきたので今年の春で引退しました。最後に作ってもらったのがこのベストです。

ちょっと他に思い当たる工場も無く、廃番かな・・・と思っていたところ、S君が新たな工場を探してくれました。これから、そのサンプル作りです。また、来年も生地を変えて登場させられることを願ってサンプル依頼に行ってきます。

Work in progress...

早くも(でもコレクションブランドなどに比べれば遅いのですが)16SS、来春夏の製品を作り出しています。

毎度のことながら、とても時間のかかるウォーターベリーのボタンやYKKのオールドアメリカンジッパーを注文しつつ、最初に手を付けたのはGジャン。

久しぶりにベタなGジャンを着たいのですが、もろ90年代っぽい太ピッチボーダーとかに合わせたい。もちろん、シャツタックイン・ネクタイ+Gジャン+スプリングコートという、最近はやりのインナーGジャン的な着方も。

生地は、この秋冬から登場したWORKERSフルオリジナルのそれ。
おかげさまで、初期ロットは7割がた使い切ってしまったのでセカンドロットも作り始めています。

縮率自体はきっちりわかっているとはいえ、生地使いがタテありヨコあり。
それらを勘案して、最終洗い上がりの寸法から逆算して型紙をひいていきます。

ただあくまで机上での計算なのでまずはファーストサンプルを作り、洗って、モデルにフィッティングしてからもう一度、型紙を微調整してセカンドサンプルを作っていきます。そのため、一番時間がかかるので最初に手をつけたのです・・・が、元型を作るのはある意味半年ぶりなわけです。その状態で、いきなり縮率のある形というのも頭と肩が凝ります。

毎回、サンプルの作り始めは「こんなコーディネートを作ってみたい、見てみたい」「この生地・型紙でこの工場で縫ったら今までに無い物ができるのではないか!」という希望・期待半分。
果たして、良い形になるか、組み合わせになるか。そもそも、自分で良い型紙がひけるのか!という不安半分。


そうこうしているうちに、7月の秋冬第一陣納品分もそろそろ検品分が届きだしています。こちらの出荷も待っているので、しばらくは忙しい日々が続きそうです。

JACKET, FLYING, VERY LIGHT MIL-J-7758A



http://www.e-workers.net/military/jacket_summer/1.htm

久しぶりにWORKERSのコンテンツをアップしました。
実は、うちのモデルも同じジャケットを買っていたサマーフライト。
ただ、彼はL.W.FOSTERで私はROLEN SPORTSWEAR。
お互い持ち寄って見比べてみると、生地の織りから縫い仕様もまったく違う!

フライトジャケットを着たい!でも、春夏でリブはちょっと・・・という時にベストなのがこの通称「サマーフライト」

で、自分で着てみても袖が太いなぁと感じていましたが、モデルにも着てもらうとご覧のとおり。袖もそうなのですが、カマ(襟首から袖底までのタテの長さ)が深く、確かに道具としては腕が非常に動かしやすい。でもその分、現代の洋服としてのすっきりした風合いは皆無です。

このあたり、単純に現代の形にこのディテールだけをはめるのではなく、本来のオリジナルが持つ機能性と雰囲気を壊さない程度に修正して新しい形が作ってみたいと感じています。レプリカでは無いまた新たな形にできるよう、いろいろと試行錯誤してみます。

Update







http://www.e-workers.net/store/201509/top.htm

これから夏だというのに、思いっきり冬ものですが・・・

久しぶりに登場のマウンパの進化ぶり。
初めて作ったホームスパンツイード。
そして、輪編みのリブ、豪華なツイードの裏地、コーティング生地とやりたいだけやり切ったDeck Tankers。
それに合わせるシャツは綺麗な襟付けのワイドスプレッド。ウェスタンシャツはネームも新たにしています。
バックサテンのトラウザーズは寒い冬のチノパン替わり。

どれも、実に良くできた自信作です。どうぞ、ご覧ください。

Upcoming...






6月更新、明日もしくはあさってにはアップします。
WORKERS本秋冬、第一の山場でオリジナルのホームスパンツイードを使ったジャケット。さらに、その上に着ることが出来るよう型紙を設計したマウンテンパーカ。
久しぶりに作った腰丈のブルゾン、Deck Tankersも登場予定です。

自分でもいまだ、どの色をオーダーするか悩んでいます。
我ながら、自分の作るジャケットはオーダーものとも違う、シャツをそのままジャケットにしてしまったようなカバーオール的な物とも違う。しっかりしたウールの表生地に、シャツ生地を裏地に。探すとありそうで無いジャケットです。

その上に羽織るマウンパ。これは2013年に作って自分でも良く着ました。その着たうえで、気になった個所をアップデートしての登場。

腰丈のブルゾン、若いときはタンカースはじめ、L-2B、L-2A、MA-1、B-15C、B-15Dと良く着ていたのですが年と共にあまり着なくなりました。ただ、これも周期があって久しぶりに着たいな!と思い、昔のを引っ張り出して着てみたのですが、やはり丈の短さ、袖の太さと今着るには覚悟が要る部分も多々。そこで、デザインはUSNのデッキジップとタンカース、さらにはG-1を一つにまとめてみました。

ご期待ください。

L.L.Bean Maine


5月に一週間ほどニューヨーク・ボストン・メインに行ってきました。
一番の目的はこのメイン州フリーポートにあるL.L.Beanのフラッグシップストア。

今ではだいぶ様変わりしてしまいましたが、私にとって初めての「アメリカ衣類」と言えばLLBeanなのです。高校時代、空前の円高。そんな時に、イーストベイで注文するNikeのスニーカーと並んでお気に入りだったのがLLBeanでした。

当時すでに米国製だけではなくなっていたけれど、そのラインナップの豊富さ、サイズの大きさに圧倒されつつ、シャツやフリースなどを買っては着ていました。

私は昭和53年生まれ。Made in USAカタログも、POPEYEもすべて後追いの世代です。本当は、当時のLLBeanを見たかったし、今は何も残っていないかもしれない・・・と思いながらも、何か痕跡が無いかと探しに行きました。




古いMADE IN USAカタログに乗っていた当時の社屋。この写真片手に建物をあちらからも、こちらからも見てもどうも窓の形や階数が合わない。

そこで、店内でも年配の店員さんに写真を見せて聞いてみると、確かにこの建物はこのFlagship Retail Storeの建物だと思うけど、完全にリノベーションされてしまったのでこれがどこだったかはわからないな~だそうです。

他の店員さんにも聞きたかったのですが、メモリアルデイ前の日曜日。忙しそうだったのでさすがに遠慮しておきました。









店内の随所には、LLBeanの歴史を感じさせる展示があります。
アウトドアウェアが大好きなうちのモデルが見たら一日中居られそうな面白い写真や展示ばかりです。
こういった広告のうまさは本当にアメリカらしい。
正直、今の商品構成はアウトドア一辺倒というわけではありません。それでも「ヘリテージ」「伝統」とか、そういった自分のブランドの「ブランドらしさ」の表現では他のブランドよりもいまだに一歩、二歩先を行っているように感じました。

結局、今回も「行ってみたら、それそのものは無かった」ということが分かったのですが、その行くことが、感じることが大事だと思います。

強烈にあこがれるアメリカ、そこから今の仕事を選びました。だからこそ、アメリカに行って、その自分があこがれたものの原点を目で見て、肌で感じることがまた次の活力になるのです。