解体する意味

Cocky Crew Storeで購入。フレンチ系のハンティング

型紙を取る為解体!典型的な1900年代初頭っぽい形

WORKERS 16FWサンプル最終型。型紙作成中です。
昨年末、Cocky Crew Storeさんで手に入れたハンティング。サイズもちょうど自分サイズで、年明け以来しばらく着ていました。
作るつもりはなかったのですが、これもたまたま見つけた高密度のコーデュロイ生地。前から、見てはいたのですが、いよいよこれを作っていた産元が辞めてしまったそうで廃番になると。だったらと、残りの生地を買い集めて作ってみることにしました。

作るとなれば型紙です。簡単なのは、カバーオールやジャケットなど、今まで作った型にポケットや襟のデザインだけペタっと載せ換え。楽だし、寸法やフィット感も以前の何かに近いので、買う側も楽かもしれません。

でも、せっかく作るならそのものが持つ本来のフィット感やシルエット、雰囲気を残しつつ、21世紀の今、着やすい物を。そして、作りも今の工場で作れる無理のない物にしたいのです。

ということで、資料として残すため撮影したのち解体!さすが古い服なので、縫い目のステッチは非常に細かく、随所にハンドステッチ入り。ハサミやリッパーでの解体が難しく、縫い目をカッターで切ったり。

でも、そのおかげで特徴的な型紙が一目でわかります。
そう、初期WORKERSのLot200(Wabashのジャケット)でもおなじみ、前端が肩に向かって倒れる物。

前端のラインを上に向かって追っていくと、まっすぐでは無いのがわかります。
前身頃の肩先はある意味無理やり戻して後ろ肩とつなぐ。だから、前肩部分の地の目はまっすぐ上ではなく、人の顔方向に向かって流れる。

戻した分出る皺は顎ダーツで処理。独特な卵を倒した形状のアームホール、とても強い肩傾斜と、あげればきりが無いぐらいクラシックな型紙の特徴を示しています。
これをまずは一度トレースし、そのうえで、今まで作ってきた型紙。また寸法一覧(過去数年分の製品の肩幅、傾斜、アームホール寸法等をデータで残し一覧にしています)を比較しながら、着やすい、でもオリジナルの持つ雰囲気を消さないように微調整していきます。

それと同時に、どこの工場で作ってもらうか。その工場の得手不得手を考えながら、縫製仕様も検討していきます。とても地味ですが、メーカーとしての腕の見せ所です。