Mills 機屋 二件目

お次は、WORKERSのチノ生地のキバタ(染めたり、防縮加工したりする前のベース)を織っている機屋さんへ。


ちょうど、織りあがった生地が徐々にたまっています。
これが「折反」と呼ばれる、染めに行く前の状態。
ここでも、綺麗に折っておかないと、後後染めの時にムラになってしまいます。
なので、ミルフィーユのように綺麗にたたまれています。



さっそく織機とご対面。
社長さん曰く「織機のほぼ限界の本数を打ちこんでいる」そうです。
タテもヨコも、あれだけ打ち込むからこそしっかりとして、強度のある綾織生地(チノ)になるわけです。


ご覧のとおり、この機屋さんは白生地だけ。そうすることで、色糸が混ざりこむのを防いでいます。

手前の左側、ヨコ糸の供給部分があります。これが二つあるのも理由が。
常識的に考えれば、ヨコ糸は一つ、それが無くなったら次、となりそうなものですが、実際には二本の糸を交互に打っています。

というのも同じ白糸と言えど、その白さは微妙に違うそうです。
これを、そのまま一本づつヨコ糸として使うと、糸が変わった瞬間、微妙にベースの白生地の色が変わる。さらに、それが染めるといよいよ色の違いとしてわかってしまう。

そこで、ヨコ糸を複数用意して、それを順番に打つ事でできる限り色が平均的になるようにしています。


ここで思い出すのが、デニムのタテ糸をロープ染色した後に「分繊」と呼ばれる、色を平均化する工程。

ロープ染色した糸を色が均一になるよう、分けながらビームという織機にのる軸に巻いていく作業。これはカイハラさんで今回の工場さんとは別です。
考え方としては、この分繊と同じように、一本の糸をそのまま使わず、バランス良く複数使うことで、白生地と言えど、色を平均化していきます。


工場の端には、WORKERSのデニムに使う別注糸も作ってもらっている山忠さんの箱が!
付き合いのある工場さんの材料があったりすると、妙にうれしいのです。
工場さんにしてみれば「君が生まれる前から付き合いあるんだけどね」とかいう話なのですが。


完成した生地は検査にかかります。
この検査が、かなりゆっくり、本当に目でしっかり見て行われています。
どことは言いませんが、すさまじい早さで検査するところもあり、正直見てるの?と思うこともありました。(その工場さんの生地はWORKERSでは使っていませんのでご安心を)

その点、この工場さんは本当にしっかりしています。
「織キズや色ムラ、めったにないでしょ?」と言われましたが、確かに、あの生地は本当に不良が少ないのです。

使わせてもらっている側は「あれ、良い生地だよね、B少なくて」の一言で終わりですが、実際、製造している側はそのために織機を調整して、糸の打ち込みを工夫して、検査も時間かけて・・・と、いろいろ工夫してくれているのです。
だからこそ、WORKERSで製品を作るときはそういう生地が生きるような、良い企画を考えないといけないのだよなと、身が引き締まりつつプレッシャーも感じます。



最後が折る作業。
これも機械がやるとはいえ、最初の折り始めは特に注意が必要で、この時も折れそうに成るのを微調整して、それから折はじめ。
さらに、折っている最中も、曲がってまた変な折り目がつかないよう、ずっとつきっきりで人が見ています。

機械に手伝ってもらうとはいえ、やはりここでも人の目、手、そして少しでも良い物を作ろうという最後は「意識」が働いています。


意識はこれを見れば一発でわかります。
そんな意識に負けない、良い企画を考えていきます。